上海で恐喝と詐欺の被害い【治安情報④】

51ヵ国目 中国

上海のぼったくりバーの恐怖【強行編】

皆さんこんにちは、世界一周トラベラーのGreenです。
今回も引き続き上海にてぼったくりバーの被害にあった時の情報です。

予想外の言い掛かりで、恐怖を利用し約43万円という高額な請求を迫られます。

前回の記事はこちら

払う払わない

席に戻されマネージャーとの話が続きます。
警察は呼ばないから25,000元払えとのこと。
しかし、実際僕は200元ほどしかもっていないので、正直に払いたくても払えないと伝えます。

するとチェホンマンが近寄ってきて僕のカバンを奪いとろうとします。
もちろん抵抗しますが、あっけなく奪われます。

テーブルの上に僕の持ち物を1つずつ出していきます。
しかし大したものは入っていません。

ガイドブック…。
レシートや紙類…。
パスポート…。
パスポートは顔写真のページを開き高々と掲げながら見ています。
おそらく監視カメラに見せているのでしょう。

そして財布がでてきて、中身をあさり始めます。
本当に現金はありませんが、クレジットカードがあることがバレます。

マネージャー「これで払え」

「それは定期券だからクレカじゃない」

マネージャー「でもマスターカードのマークついてる」

「…」

動揺している僕からは幼稚な言い訳しか出てきません。
なんとしても払いたくない気持ちが固まっていきます。

やり取りが始まって20分は経過したでしょうか、

マネージャー「払わないならケーサツを呼ぶ」

そして携帯電話で電話するそぶりを見せます。
いやいやいや、こっちのセリフだし!!
ちゃんとした警察が来るならばむしろ呼んでほしい!

しかし、この期に及んで本物の警察はこないだろう…。
おそらく、警察に扮した仲間が現れる。

中国マフィアとか呼ばれたら本気で武器が出てきて、怪我をするだろう。
下手すると命にかかわるかもしれない。

その想像をしただけで僕の顔には恐怖の2文字がより一層深く刻まれます。
流石は取り立て屋ですね、人間の恐怖を上手に利用してきます。

僕は必至に「ケーサツ」と言う名の輩を呼ばないように止めます。
自分で警察に電話したいが、僕のスマホは中国では電話できません。
部屋の外にも助けを呼びに行けないのです。
監禁されているので完全に八方ふさがりなんです…。

そのあともさらに10分程
払え、払わない、
ケーサツ呼ぶ、呼ばせない、
のやり取りを続けていました。

値引き交渉

しびれを切らしたマネージャーが詰め寄ってきます。

マネージャー「ではいくらならば払うのか?」

何十万の金なんて払えません。
せめて一桁万円に収まらないかと考え、適当に3,000元(約5万円)と伝えてみました。

するとマネージャーは一度部屋を出ていき、誰かに相談しに行ったようです。
その間はもちろんチェホンマンと僕の2人がこの部屋に残る…。

恐る恐る英語で話しかけてみます。
日本語でも話しかけてみます。
彼は表情1つ変えず何の反応もありません…。
鉄壁なやつです…。

文章では伝わらないかもしれませんが、僕の精神状態は殺人鬼にナイフを突きつけられているような状態だったのです。
1対1での沈黙は本当に心が持ちそうにありません…。

そんな中、2~3分後にマネージャーが戻ってきて言い放ちます。

マネージャー「社長と話してきた、だが3,000元(約5万円)なんてはした金はいらない」

再び電卓をたたき13,800元(約23万円)という細かな数字を出してきました。

マネージャー「お前はまだ若いから未来がある」
マネージャー「この金額に負けてやるから払え」

なるほど、本当に欲しい金額はこの金額と言うことか?
それともカードの上限を気にした?
この金額ならば本物の警察を呼ばれても重大事件扱いにはならないのか?

理由はわかりませんが、なぜかこの具体的な数字がでてきました。

証拠は見つけるものではない、つくるものだ!

監禁が始まってそろそろ40分くらいが経ちます。
マネージャーにも疲れが見え、最初の頃の迫力はありません。

マネージャー「お前は本当に変な奴だ」
マネージャー「ほかの日本人はもっと早くあきらめて払う」
マネージャー「この前のやつは50,000元(約85万円)払ったぞ」

「しかし、僕にはなんの落ち度もない、ビール一杯だぞ?」

マネージャー「そんなことは関係ない、さっき2人の写真を撮っただろ、あれが証拠だ」

なるほど写真を撮られたのは証拠をつくっていたということのようです…。
どうやら本物の警察に駆け込んでもその写真でこちらが不利になるとのこと…。

本当に!?
ただ2人で写った写真だけで?
中国の法律どうなってんの???

しかし恐怖に駆られている僕は、本当にそれだけでこちらは勝てない思い込まされてしまうのです。

マネージャー「真実なんてなんとでもなる、証拠がある時点でお前の負けだ」

敵ながら中々的を得たことを言ってきます…。
まぁ、こちらに落ち度がなくてもこの状況に巻き込まれている時点で僕の負けなのでしょう…。

ここからも、さらに10分粘り、さらに半額にしてくれれば払うと、こちらから条件を出してみます。
するとマネージャーはまた部屋を出て社長?に確認しに行きました。

脅しに屈する

もうチェホンマンも飽き飽きしているようです。
ため息は聞こえるがこちらの声掛けには応答しません。

マネージャーが戻ると再び激怒していました。
社長と呼ばれる人間に発破をかけられたのでしょう。
もう後がないようで、さすがにケーサツ(マフィア)を呼ぶしかないと。

マネージャー「13,800元の半分はマフィアの取り分、もう半分が店の利益」
マネージャー「もう後がない、本当にこれ以上はマフィアにお願いするしかない」

もはやケーサツと言う言葉すら使わずマフィアと言ってきます。
そしてまた電話をかけようとします。
僕はまたその手を腕ずくで抑えますが、
ついに…

チェホンマンが僕の隣に座ってきました。

巨体が僕の横に鎮座しこちらをにらみつけます。
しかし手は出してきません。
ただ横に座って見られているだけです。

それなのに、巨人に首を絞められながら、ぶら下がっているような気持になってしまう…。
凶器も何も出てきていないのに殺されると感じてしまう…。

精神的に追い詰められている僕は負けました。
この迫力には勝てない…。
一度突き飛ばされただけで完全に委縮しているのです。

この時点で僕はあきらめました。
本当にマフィアが来るのかはわかりません。
ただのはったりの可能性の方が高いでしょう。
しかし、仮に本物が来たら、怪我をするか、今以上の金額を請求されるでしょう。
または、指を失うか…。
爪を剥がされるかもしれません…。

さらなる恐怖を恐れ妥協する

そしてなによりも明日朝の帰国便の為に、自分の腹痛を回復する為にも早く帰りたいと考えだします。
そうだ、僕はアジアで変な食中毒になっているんだった…。

そもそもこの食中毒が原因で大事になるかもしれない。
長引いて明日帰国できず、病院に行けないほうがまずい…。

1ヶ月後にはフィリピンに語学留学に行くんだ。
入院している暇もない…。

色々と冷静に考えられうようになった時点13,800元(約23万円)を払うことにしました。

そう考えた途端、別の恐怖が僕を支配してきます。
もしかしたら、払う意思を見せた後に、さらに金額を上乗せされるかもしれない。
現時点で約23万円だが、スキミングされて100万単位の金額をとられるかもしれない…。

人は脅されると、どんどんネガティブな感情に飲まれていく、ということをこの時に身をもって感じました…。

とにかく二次被害を防がなきゃ。
この「二次被害を防ぐ」に気持ちが変わっていきました。

恐怖と敗北感、体調不良によりもう完全な自暴時期ですが、今からできる最善を尽くそうと考え始めました。

クレジットカードマシンで支払いをします。
どうやら暗証番号ではなくサインをするタイプのようです。

13,799元と言う金額でカードを切られサインをします。
やはりこの金額にはなにか上限があるのでしょう。
色々と考えながらも、とにかくここからは穏便にすませることに集中しました。

いい社会勉強になった?

支払いを済ませると満面の笑みのマネージャーが一言。

マネージャー「いい勉強になっただろwww」

うっせ。
黙れ。
失せろ。
クソババア。

…。

…。

言われなくてもわかってるわ…。

支払いが済むとマネージャーもチェホンマンも笑顔で僕を送り出してくれます。
あの恐怖のチェホンマンも笑っていやがる…。

そして1時間以上も粘ったのに結局払ってしまった。
他の日本人は10分くらいで素直に払うらしいので、僕は相当面倒なカモだったようです…。

もしかしたら回避できるかもと言う可能性
少しでも被害を小さくするという可能性

可能性が0でないかぎり僕は試し続ける性格でしたが、結果的に何も得られませんでした。
前向きな気持ちやプライドと言うものは、恐怖には勝てないという悲しい結果だけが得られました…。

…。

部屋を出て、店の外に出るまでは店内にいる多くの人が僕に注目しています。

お前払ったんだな
バカだな
カモだな

という笑顔が僕に次々と刺さります。
タイタニックのエンディングで出演者が勢ぞろいで出迎えてくれる、あのシーンとそっくりです。
気持ちは正反対ですが…。

受付の人は笑顔で缶ビールを1缶くれます。
どういう気持ちでそれをくれるのでしょうか。
…。

皆の笑顔が痛すぎて、僕は顔も上げられず、
10人近い人が見ていたということしかわからず、
裏口から外に出されました。

きっと泣かないよう、必死に平静を装っている僕の顔がより滑稽だったのでしょう。

入口のスタッフ「この裏口の路地をまっすぐ行けば南京東路に戻れるよ」

御親切にどうも。
そりゃあ親切にしてくれるだろうよ。
こちとらビール1杯に23万円も払う上客だからな。
なんなら宿まで送ってけや。

…。

心の中で精いっぱいの負け惜しみを叫び僕はやっと自由になりました。

負の感情

裏路地に出され人通りの多い南京東路に戻ってきました。
そこには普通の観光地があり、相変わらず子連れ外国人が楽しそうに歩いています。

その光景を目の当たりにして、大粒の涙が溢れてきてしまいました…。

恐怖から解放されて、安心な場所に戻れたことが嬉しかったのか。

あっさりとリュウさんに騙されたことが悔しいのか。

もっと人を信じて生きていこうと考え始めた途端に、人に裏切られて苦しいのか。

23万円という高額を払わされたこと自体が悔しいのか。

裏社会に触れどん底の恐怖を味わったからか。

今までの教育や正義だけじゃ平和に生きていけないという事実を知ってしまったからか。

あまりにも平和ボケしていた自分が悲しいからか。

僕はキラキラと輝き、
歪む上海の光の中、
足早にホテルに向かいました。

怒り

恐怖

敗北感

虚無感

不信感

疑心暗鬼

この事件により僕はいろんな負の感情を得ました。

そしてこれが僕の人生で最大のトラウマとなっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
うまく伝わっていないかもしれませんが、終始恐怖にさらされていたので、まともな思考回路で行動できていませんでした。
なんで、そんなことになるの?
なんで、そんな言いがかかりに負けるの?
と思うかもしれませんが、当時の精神状態の僕ではこれがいっぱいいっぱいの行動でした。

しかし、ここでこの23万円で済んだからこそ、世界一周中には誰にも騙されずに済んだとも考えられます。
この事件が南米だったら普通に殺されていたでしょう。

さて、事件はまだ終わっていません。
店を出てからホテルに戻り、その後にとった行動対策を次回紹介していきます。

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